堀内利美図形詩集
『人生の花 咲き匂う』
堀内利美さんの図形詩集は、言葉が本来的に備えている温かい心を伝え、しなやかな遊び心に満ちている。どんなに過酷な情況に置かれてもユーモアを失わないで、人の心の深層から立ち昇る自由な言葉を探し出して、私たちの前に手品のように提示してくれる。(解説文・鈴木比佐雄 詩人・編集者より)
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栞解説文:鈴木比佐雄 |
A5判/160頁/ソフトカバー ISBN978-4-86435-141-6 C1092 ¥2000E |
定価:2,160円(税込) |
発売:2014年2月3日
「あとがき」
ある日 わたしの「眼で読む英詩集」=『Poetry for the Eye』を読まれた神戸の詩人からわたしにポストカードが 送られてきた。それには「日本の古典にも八重襷・回文・沓冠などの秀作が残されている。人間は 遊戯する存在である、というヨハン・ホイジンガの言葉を想起している」と 書かれていた。それでヨハン・ホイジンガについて調べたら次のことが 明らかになった。
オランダの歴史家であるJohan Huizinga(1872-1945)は、歴史における非合理的要素を重視し、文化史・精神史の研究において独自の業績を残した。ホイジンガの著書に『Homo Ludens』(1938)がある。ホモ・ルーデンスは〝遊ぶ人〟を意味する。この本の七章に「詩は遊びのなかに生まれた。詩的形式は、つねに遊びの形式である。詩人の言葉は 遊びの言葉である」と書かれている(高橋英夫訳『ホモ・ルーデンス』(中央公論社))。このことに関しては、ロジェ・カイヨワ著・多田道太郎・塚崎幹夫訳『遊びと人間』(講談社)、鈴木棠三著『ことば遊び』(講談社)も参考にしている。
ホイジンガは 人間の遊戯的行動に 人間存在のエッセンスを捉えている。彼の声にふれて わたしの心は 花と戯れる蝶のように 言の葉と遊び戯れている。木の葉と戯れる風のように 創造力や想像力と遊び戯れている。わたしの心の存在の現実は 蒼白い知識のモザイク・こちこちの言葉のモザイクを 創造的自由・詩的自由のハンマーで打ち砕いている。
わたしは できるだけ 頭の中を空にして 詩考・詩想・詩形・言葉・表現などの浄化を図っている。わたしのペンとインクは「今日まで創出されたものに安住している限り 自分自身の〝価値あるもの〟を創出することはできない」という声に みちびかれている。